
「自分の家の価値はいくら?」「マイホームを査定する方法は?」――。マイホームの売却を考えるにあたり、こうした疑問を抱く人は多いことでしょう。
本記事では、家の価値を査定する際の方法や注意点、具体的な売却戦略について解説します。
目次
- 1 マイホームの資産価値はどうやって決まる?3つの方法
- 2 マイホームを査定する前に相場をリサーチしておくべき3つの理由
- 3 マイホームの相場価格を自分で調べるための4つの方法
- 4 シミュレーションツールで家の価値がいくらになりそうか見積もってみよう
- 5 一括査定サイトを使えば複数の不動産会社の査定価格を比較できる
- 6 AIによる自動シミュレーションサービスを利用できる査定サイト2選
- 7 マンションの価格査定に特化した査定サイト2選
- 8 最新の不動産価格の推移をチェック!
- 9 家の売却相場は築年数でどう変わる?
- 10 家の売却相場は立地でどう変わる?
- 11 家の売却相場をリサーチするにあたっての注意点5つ
- 12 相場よりも安くなる!?家の売却で避けるべき5つのケース
- 13 売却相場よりも家を高く売るための7つのコツ
- 14 売却方法を工夫しよう!古い家を売却する際の3つのコツ
- 15 家の価値がいくらになるかはオーナーの努力と工夫次第
- 16 家の売却でよくあるQ&A
マイホームの資産価値はどうやって決まる?3つの方法
マイホームの資産価値を査定する方法には、主に以下の3つがあります。
①家賃が基準の「収益還元法」
②取引実績が基準の「取引事例比較法」
③再取得価格が基準の「原価法」
不動産の価値は築年数や周辺環境、経済情勢といったさまざまな要因によって決まるため、その査定方法も多岐にわたります。具体的に見ていきましょう。
①家賃が基準の「収益還元法」
「収益還元法」とは、その不動産が将来生み出すであろう収益の大きさから、資産価値を算出する方法です。
賃貸用不動産や事業用不動産を取得する際によく利用される方法ですが、マイホームであっても賃貸住宅として貸し出すことを想定して資産価値を求めることができます。
収益還元法での資産価値は以下の計算式によって算出されます。
資産価値=年間の実質家賃収入÷年間利回り
実質家賃収入とは、入居者から支払われる家賃収入から各種経費(固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金など)を差し引いた、実際に手元に残る収入の金額です。
年間利回りとは、その物件から年間で得られる利益の割合のことです。年間利回りは「年間の実質家賃収入÷不動産価格×100」で求めることができます。
年間の家賃収入が120万円、各種経費の合計が20万円、年間利回りが4%である場合、資産価値は(120万円-20万円)÷4%=2,500万円となります。
②取引実績が基準の「取引事例比較法」

「取引事例比較法」とは、周辺で実際に行われた直近の取引実績を基準として資産価値を算出する方法です。
例えば、直近1ヵ月において同じマンションの同じ間取りの部屋が3,000万円で売れた場合、その価格をベースにその部屋と自分の部屋との条件の良し悪しを加味して査定価格を算出します。
周辺で類似物件の取引実績がない場合は、相場価格が近いエリアでの取引実績が比較対象として参照されます。
③再取得価格が基準の「原価法」
「原価法」とは、そのマイホームを土地・建物を含めてもう一度取得する際の価格を基準として資産価値を算出する方法です。
原価法を用いて価格を査定する場合、新価ではなく時価を用いる点に注意しましょう(時価を用いて算出される価格のことを「積算価格」といいます)。
新価とは同等の物件を新たに建築または購入する際にかかる価格(再調達価格)のことで、時価とは新価から経年による価値の下落および使用による消耗分を差し引いた価格のことです。
算出したいのは「現在の資産価値」であるため、新価に経年要素を反映させた時価を求める必要があるのです。
経年による価値の下落および使用による消耗分を算出する際には、その建物の耐用年数(法定耐用年数および残耐用年数)が加味されます。
原価法による査定をまとめると以下のようになります。
資産価値(積算価格)=新価-経年による価値の下落および使用による消耗分
マイホームを査定する前に相場をリサーチしておくべき3つの理由
マイホームを査定するにあたり、相場に関する情報を事前に自分でもリサーチしておくのが基本です。その理由は以下の3つとなります。
①相場以下の価格で売却しないようにするため
②適切な売却戦略を立てるため
③パートナーにする不動産会社を見極めるため
それでは、順に見ていきましょう。
①相場以下の価格で売却しないようにするため
相場価格を知らずに不動産会社に言われるがまま売却活動を進めてしまうと、相場以下の価格で売却する結果になってしまう可能性があります。
不動産会社から提示された査定価格や売り出し後の値下げ提案などを鵜呑みにして価格設定を行うと、相場以下の価格で売却提案をされていても気付けないためです。
売主として相場価格について理解し、価格設定について不動産会社と対等に議論できるようにしておくのが理想です。
②適切な売却戦略を立てるため
売出価格の設定や売り出し後の価格調整、購入希望者との価格交渉といったあらゆる局面において、適切に対処するためには相場価格を知っておく必要があります。
売出価格をいくらに設定するか、売り出し開始から一定期間後に売れ残っていた場合にいくらまで価格を下げるか、購入希望者から価格交渉を求められた場合にいくらまでなら受けてもいいかといった売却戦略を立てる上で、相場価格を理解していないと場当たり的な対応になってしまうでしょう。
適切な売却戦略を立てるために、売主として相場価格を理解しておくことは非常に重要です。
相場価格を常に念頭に置くことで、売却活動を計画的かつ有利に進めましょう。
③パートナーにする不動産会社を見極めるため
売却活動においては、どの不動産会社をパートナーにするかによって結果や満足度が大きく変わる可能性があります。
査定依頼の段階で、あまりにも相場および同業他社よりかけ離れた高い価格を提示した不動産会社には注意が必要です。
高い査定価格で売主の目を引き、媒介契約を締結させようとする不動産会社もいるからです。
売主自身が相場価格を理解せずに、査定価格を鵜呑みにしてその不動産会社に媒介を一任してしまうと、売出価格が高すぎて長期間売れ残ることになり、大きな時間のロスになってしまう可能性があります。
相場よりも査定価格が高い場合は、なぜ高いのかを確認するとよいでしょう。結果的に、その不動産会社が信頼できるかどうかを見極めることにつながります。
参考:後藤一仁「マンションを売るときは「査定価格」に注意!悪質業者の手口を公開!」ダイヤモンド・オンライン
マイホームの相場価格を自分で調べるための4つの方法
マイホームの相場価格を自分で調べる方法は以下の4つです。
①「レインズマーケットインフォメーション」の情報を参照する
②「土地総合情報システム」の情報を参照する
③不動産ポータルサイトの情報を参照する
④購入価格からシミュレーションする
①「レインズマーケットインフォメーション」の情報を参照する
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産情報サイトです。
レインズマーケットインフォメーションを利用することで、マンションおよび戸建ての相場価格を参照できます。以下のような特徴があります。
情報の信頼性・充実度が高い
不動産会社は物件を売り出す時および成約した時にその価格をレインズに登録します。
実際に物件の売買に携わる全国の不動産会社からの情報がレインズに集まるため、情報の信頼性・充実度が高いという点がレインズの特徴の一つです。
国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理しており、全国の不動産会社が利用しているという点で、一般的な民間のポータルサイトや物件査定サイトよりも情報の信頼性・充実度が高いと言えるでしょう。
成約価格も調べることができる
レインズマーケットインフォメーション特有の強みとして、成約価格(実際に売買が成立した価格)を調べることができるという点が挙げられます。
一般的な民間のポータルサイトや物件査定サイトに掲載されているのは、売出価格です。売出価格は売主が自由に設定できるため、実際の相場価格を反映しているとは必ずしも言えません。
実際の取引においては購入希望者からの価格交渉が入り、売出価格よりも低い価格で成約することも少なくないためです。
②「土地総合情報システム」の情報を参照する
土地総合情報システムは、国土交通省が運営している不動産情報サイトです。
土地総合情報システムでは土地の相場価格を調べることができるという点で、レインズマーケットインフォメーションにはない機能を持っているといえます。
家を解体して土地として売却することを検討する際に有用なサービスと言えるでしょう。
一方で注意が必要な点として、土地総合情報システムに掲載されているデータの量が少ないことが挙げられます。
土地総合情報システムの情報源は、国土交通省が不動産売買の当事者に行っているアンケート調査であり、アンケートへの回答は任意であるためです。
エリアによっては土地の取引情報が1件も表示されないこともあります。データが極端に少ないエリアでは検索結果をそのまま信じないようにしましょう。民間のポータルサイトなど他の情報も参考にしてみてください。
③不動産ポータルサイトの情報を参照する
不動産ポータルサイトとは、「SUUMO」「アットホーム」「中古住宅HOME4U」といった一般のエンドユーザー向けの物件情報サイトです。
不動産ポータルサイトは、アプリ化されているなどの使いやすさや写真の充実度の高さが特徴です。
SUUMO

出典:公式サイト
【公式サイト】https://suumo.jp/ms/chuko/
SUUMOはリクルートが運営しており、「住みたい街ランキング」を毎年発表している物件情報サイトです。
アットホーム

出典:公式サイト
【公式サイト】https://www.athome.co.jp/mansion/chuko/
アットホームは不動産サービス大手のアットホームが運営しており、「タウンライブラリー」という全国各地の自治体データ、教育・医療・商業施設等の情報を発信しています。
中古住宅HOME4U

出典:公式サイト
【公式サイト】https://www.home4u.jp/buy/
中古住宅HOME4Uは、NTTデータの子会社のNTTデータ・スマートソーシングが運営しており、中古住宅に特化した国内最大級の不動産ポータルサイトです。
LIFULL HOME'S

出典:公式サイト
【公式サイト】https://lifullhomes-satei.jp/price-map/
LIFULL HOME'Sは、不動産情報サービスのLIFULLが運営しています。地図上にマンションが表示され、物件名や参考価格、参考賃料等の情報を参照することができます。
「住戸情報を入力して参考価格を算出する」という機能もあり、所在階・専有面積・間取りを入力することで、よりピンポイントな参考価格も参照可能です。
マイホームのみならず周辺物件の参考価格も参照できるため、周辺の相場価格を俯瞰的に把握する際に非常に役に立つサービスと言えるでしょう。
④購入価格からシミュレーションする
建物の価格は築年数の経過とともに下がっていく傾向があります。
その物件が所在するエリアでの物件価格の下落率をベースに、購入してから一定期間が経過した時点での価格をシミュレーションすることも可能です。
ここでは例としてまず、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)がまとめた首都圏の中古マンションの成約状況のデータ(2021年)を基に、築5年目までの価格を1とした場合、築年数によって物件価格がどの程度下落するのかを求めます。
<築年数による中古マンション売却額の下落率>
| 築年数 | 下落率 |
|---|---|
| 〜5年 | 1.00 |
| 5〜10年 | 0.90 |
| 10〜14年 | 0.81 |
| 15〜19年 | 0.76 |
| 20〜24年 | 0.64 |
| 25〜29年 | 0.39 |
| 30年〜 | 0.33 |
次に、新築時の価格が5,000万円だったマンションを築15年で売却する場合の価格を上図に当てはめて計算してみましょう。
新築時の価格(5,000万円)×下落率(0.76)=売却額(3,800万円)
このように、そのエリアにおける物件価格の下落率から、築年数によって物件価格がいくらになるかというおおよその予測を立てることができます。
ただし、不動産価格は築年数のみによって決まるものではないということは認識しておきましょう。
再開発や人口流入などの要因でエリアによっては、築年数が経過しても物件価格が上がったり、経済や金融の情勢によって築年数の経過による下落率よりも高い割合で価格が下落したりすることもあり得ます。
シミュレーションツールで家の価値がいくらになりそうか見積もってみよう
シミュレーションツールを活用することで、家の価値がいくらになりそうかを手軽に見積もることができます。短時間でおおよその価格を知りたい場合に有用です。
「シミュレーションツール」とは?
シミュレーションツールとは、その物件の所在地や面積等の基本情報を入力するだけで簡易的な価格査定シミュレーションができるサービスです。
具体的に、シミュレーションツールには以下のようなものが挙げられます。
<シミュレーションツールの例>
・すまいステップ「匿名簡易査定シミュレーション」
・東急リバブル「スピードAI査定」
・SUMiTAS「スミタスの10秒匿名W査定」
いずれのサービスにおいてもマンション・戸建・土地の全ての物件種別について、物件の基本情報から簡易的な価格査定シミュレーションのサービスを受けることができます。
手軽に・素早く・無料で価格査定シミュレーションを行うことができ、想定売却価格や賃貸した場合の想定賃料、売却に要する費用、今後の相場予測といった有益な情報を取得できるため、マイホームの売却を検討する際に役立ちます。
シミュレーション結果には幅があり、あくまでおおよその目安と認識しておきましょう。
実際のシミュレーション結果
実際にすまいステップ「匿名簡易査定シミュレーション」を使って、シミュレーションしてみました。
シミュレーションは、大きく分けると以下3つのステップで進みます。
<匿名簡易査定シミュレーション利用の流れ>
・ステップ①:物件種別(マンション・戸建・土地)を選択
・ステップ②:査定シミュレーションに必要な基本情報を入力
・ステップ③:査定シミュレーションの結果を確認

出典:公式サイト
ステップ②では、マンション・戸建・土地のいずれかによって入力する項目が異なります。マンションの場合はマンション名、専有面積、間取り、階数、方角を入力することで想定売却価格を参照することが可能です。
ステップ③では、ステップ②で入力した情報をもとに想定売却価格の平均価格・最安値・最高値、売却した場合のコストシミュレーション(仲介手数料、その他コスト)が瞬時に表示されます。
その物件が所在するエリアの相場価格を参照することもでき、自分の物件がその都道府県および市区町村における相場価格と比べて高いか低いかも確認できます。
一括査定サイトを使えば複数の不動産会社の査定価格を比較できる
一括査定サイトとは、一度の査定依頼で複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができるサービスです。数多くの優良な不動産会社から見積もりを取得して、各社の査定価格を比較できるようになります。
一括査定サイトを使わずに同じことをしようとすると、各社へ個別に査定依頼を出す必要があるため、膨大な時間と手間がかかるでしょう。
複数の不動産会社に1回でまとめて査定依頼できるのは非常に便利です。
一括査定サイトを選ぶ際の5つの基準
一括査定サイトには多くの種類があるため、初めて利用する場合はどのサイトを選べばよいか分からないかもしれません。
一括査定サイトを選ぶ際は以下5つの基準を参考にするとよいでしょう。
<一括査定サイトを選ぶ5つの基準>
・査定を得意とする物件種別(マンション・戸建・土地)
・初心者にも使いやすいように情報提供をしているか
・一括して査定依頼ができる不動産会社の社数
・個別相談などのサポートが充実しているか
・提携している不動産会社やサイト自体の信頼性
不動産の売買では大きなお金が動くため、初心者であっても手厚いサポートと適切な情報提供を受けながら、信頼できる不動産会社と安心して安全につながることができるかを吟味しましょう。
AIによる自動シミュレーションサービスを利用できる査定サイト2選
AIによる自動シミュレーションサービスとは、ネットまたはアプリ上に必要事項を入力することで、自動でおおよその査定価格の提示を受けられるサービスのことです。
査定依頼から査定価格の提示までの全工程をネットまたはアプリ上で行うことができるため、不動産会社と連絡を取り合ったり、査定を待ったりする必要がありません。
おおよその査定価格をスピーディーかつ手軽に知りたい場合に、AIによる自動シミュレーションサービスが役に立つでしょう。
①HowMA!(株式会社コラビット)

出典:公式サイト
「HowMA」(ハウマ)は、物件に関する基本情報を入力するとAIが自動で価格査定をしてくれるシミュレーションサービスです。
サービスを利用するにあたって個人情報(名前や電話番号等)を入力する必要がないため、不動産会社から営業電話を受ける心配がありません。
しつこい営業を受ける心配がない一方、個人情報の提供をしないため不動産会社に査定依頼をすることはできません。
物件の内部までをしっかりと見た上での価格査定ではないという点は認識しておきましょう。
②10秒でDo!(ハウスドゥ)

出典:公式サイト
「10秒でDo!」はアプリもリリースされており、ネット上よりも手軽に利用できるサービスと言えるでしょう。
査定する物件の郵便番号、所在地、面積などの基本情報を入力すると、売却額と買取額が10秒で提示されるサービスです。
AIによる自動シミュレーションであるため、物件の内部までをしっかりと見た上での価格査定ではなく、おおよその参考値として考えてください。
提示された価格に納得できれば、本格的な査定依頼を行うこともできます。
マンションの価格査定に特化した査定サイト2選
マンションは同じ棟内にあっても階数や方角、眺望等によって価格が変わります。また、同じ棟内で同じ間取り、同じ方角の住戸取引実績がある場合は、相当有力な参考事例になります。
その意味で、住所単位で全く別物になる土地や戸建とは価格査定において着眼点がやや異なると言えるでしょう。
マンションの価格査定を行う際はマンションに特化した査定サイトを利用するのも有効な選択肢の一つです。
①マンションナビ(マンションリサーチ株式会社)

出典:公式サイト
マンションナビでは、以下3パターンの方法で相場情報をリサーチすることが可能です。
<相場情報をリサーチする方法>
・都道府県・市区町村からマンションを検索
・マンション名で検索
・Googleマップを使ってマンションを検索
Googleマップを使ってマンションを検索する場合、地図上で視覚的に競合物件を見つけることができ、自分の物件と比較できるという点で使いやすい機能です。
その他のサイトと同様に所在地やマンション名で検索することもできるため、情報収集のしやすさに長けたサイトと評価できます。
②マンションマーケット(株式会社マンションマーケット)

出典:公式サイト
マンションマーケットは、不動産領域にテクノロジーを取り入れて業界の課題を解決するという方針のもと運営されているサイトです。
マンションについては国内で最大級の情報量を有しており、都道府県・市町村名で絞り込むことで売り出されているマンションの詳細な情報(マンション名、階数、間取り、専有面積、方角、販売価格等)を参照することができます。
物件情報について資料請求するなどの問い合わせもできるため、競合物件の情報を知る際に有効なサービスと言えるでしょう。
最新の不動産価格の推移をチェック!
家を売却するにあたって、「いつ売るか?」という時期の問題はその時の売却相場と密接に関連しているため非常に重要です。
近年の売却相場がどのように推移しているか、国土交通省が発表している不動産価格指数(全国、2022年6月30日公表)を見てみましょう。

出典:国土交通省「不動産価格指数」(2022年6月30日公表)
マンションはリーマンショック後の2009年から2012年頃まで低迷が続きましたが、2013年以降は右肩上がりの上昇を続けています。
一方、住宅地と戸建住宅は2009年から2020年までほぼ横ばいとなっていました。しかし2010年平均に対して、2022年3月の住宅地は8.2ポイント、戸建住宅は12ポイント増加しています。
不動産価格指数は全国平均のほか、関東地方や近畿地方など全国9地区に分けて紹介しているので、売却したい家のエリアの情報は必ずチェックし、今が売り時なのか判断するようにしましょう。
家の売却相場は築年数でどう変わる?
マンションも戸建も築年数が経過すると、売却相場(1平方メートルあたりの単価)はおおむね下落する傾向があります。
建物や設備は経年とともに劣化するものであり、大規模修繕やリフォームをしていたとしても劣化自体を止めることはできません。
築年数という観点においては、物件を購入して数年間住んだ後に売却しようとすると、基本的に価格は下がるものだと認識しておきましょう。
ただし、再開発が進んでいたり人口流入が進んでいたりする一部のエリアにおいては、築年数が経過しても不動産価格が上昇することもあり得ます。
家の売却相場は築年数のみならず、人口動態(家を購入できる購買力のある世帯がどれほど増加しているか)や経済および金融情勢(景気や金融機関の貸出金利等)といった種々の外的要因によって変動します。
築年数に応じて家の売却相場がどのように変わるのか、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「季報マーケットウォッチ」(2022年1〜3月期)を参考にしながら、以下のように5年間隔で見ていきましょう。
築5年以下の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)における築5年以下の中古マンションの成約件数割合は7.6%、中古戸建の割合は11.4%と希少性の高い築年数であることが分かります。
築5年以下であれば新築時から大きく劣化が進んでいることが少なく、建物や設備も比較的最新鋭のものがそろえられていることが多いため、購入希望者の需要を喚起しやすいでしょう。
新築で購入した時よりも高い価格で売却するのは困難である可能性が高いですが、大幅な価格下落を危惧する必要まではないといえそうです。
物件数が少ないエリアにある物件やそのエリアのシンボルになっているような物件は、新築時よりも高い価格で売却できる可能性も大いにあるでしょう。
築6~10年の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏における築6~10年の中古マンションの成約件数割合は15.2%、中古戸建の割合は14.9%で、両者ともに築31年以上の物件の割合に次いで全体で2番目に多くなっています。
成約件数に占める割合が高いということは、活発に取引がされている、言い換えれば、売り手も買い手も多く存在しているということです。
買い手側からすると、築6~10年の物件は築5年以下の物件よりは割高感がなく、建物や設備の劣化が大きくは進んでいないというメリットがあります。
築年数がそこまで経過していないため、長期の住宅ローンを組みやすいという点も成約件数に占める割合が高い要因の一つといえるでしょう。
築11〜15年の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏における築11〜15年の中古マンションの成約件数割合は12.4%、中古戸建の割合は11.8%です。
築10年を超えてくると家の価格下落がやや緩やかになる傾向があり、価格の安定感が少しずつ出てきている時期であると言えます。
築11〜15年の物件は室内設備の劣化がそこまで大きくは進行しておらず、大規模なリフォーム(床材やクロスの張り替え、水回り設備の交換等)をしなくても購入希望者を見つけられる可能性が高いです。
ただし、エアコンや給湯器などの大型設備は交換時期を迎えている可能性もあるため、購入希望者から交換の依頼があるかもしれません。
築16〜20年の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏における築16〜20年の中古マンションの成約件数割合は13.9%、中古戸建の割合は13.5%です。
木造戸建の場合、法定耐用年数(機械設備や建物といった固定資産の使用可能期間として、法律で定められた年数)が22年であることからもうかがえるように、建物部分の評価上の価値が大きく下落している時期です。
立地が良くないなどの懸念点がある木造戸建はこの築年数の期間に売却することも検討しましょう。
マンションの場合は法定耐用年数が47年であることから、築年数の観点においては、木造戸建ほど売却を急ぐべき理由はないと言えます。
築21〜25年の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏における築21〜25年の中古マンションの成約件数割合は11.4%、中古戸建の割合は13.7%です。
2022年1〜3月期の首都圏における成約築年数の平均値は、中古マンションで23.10年、中古戸建で20.82年となっており、築21〜25年の物件は首都圏における平均的な成約物件の築年数に最も近いと言えます。
同様に、平均的な成約価格に最も近いのも築21〜25年の物件であると言えるでしょう。
そのエリアにおける平均的な成約単価(1平方メートルあたり)から、自分の物件がいくらくらいで売れそうかという仮説を立てることができます。
築26〜30年の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏における築26〜30年の中古マンションの成約件数割合は7.8%、中古戸建の割合は11.0%です。
2022年1〜3月期の首都圏における成約築年数の平均値が、中古マンションで23.10年、中古戸建で20.82年であることから、築26〜30年の物件は「築古物件」と認識される可能性が高いでしょう。
大規模なリフォームや設備の一斉交換等をしていない場合、築26〜30年の物件は建物や設備の劣化が進行しています。
リフォームをしてから売り出すという選択肢のみならず、買主が自分好みにリフォームやリノベーションできるように、そのままの状態で売り出すことも検討してみましょう。
築31年以上の家の売却相場
2022年1〜3月期の首都圏における築31年以上の中古マンションの成約件数割合は31.7%、中古戸建の割合は23.7%です。
築31年以上の物件となると「古すぎて売れないのではないか?」と不安になるかもしれませんが、2022年1〜3月期の首都圏において最も成約した件数割合の最多は築31年以上の物件です。
マンションでは3件に1件近く、戸建では4件に1件近くが31年以上の物件となります。
取引量が最も多いということは、競合物件の数も最も多いということであるため、不動産会社選びやターゲット設定といった売却戦略の立案が重要になります。
家の売却相場は立地でどう変わる?
家の売却相場は購入ニーズの多寡、すなわち人口の多寡の影響を受けやすいため、立地によっても大きく変わります。
人口が多いエリアでは家を買って住みたいというニーズが多くなりやすいため、売却相場が上がりやすくなります。
首都圏における家の売却相場
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「季報マーケットウォッチ」(2022年1〜3月期)によると、2022年1〜3月期の首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の中古マンションの成約平方メートル単価は、64.06万円/平方メートルであり、前年同期比で10.2%上昇しています。
同期における各都県の成約平方メートル単価をまとめると以下の表の通りです。
| エリア | 成約平方メートル単価(万円/平方メートル) | 前年同期比(%) |
|---|---|---|
| 東京都 | 85.96 | +10.2 |
| 埼玉県 | 39.10 | +13.8 |
| 千葉県 | 34.87 | +12.7 |
| 神奈川県 | 50.44 | +8.4 |
首都圏の中でも人口の多い東京都・神奈川県の成約平方メートル単価が特に高くなっていることが分かります。
近畿圏における家の売却相場
近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)の「マンスリーレポート ダイジェスト」(2022年6月号)によると、2022年5月の近畿圏(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)の中古マンションの成約平方メートル単価は、38.97万円/平方メートルであり、前年同月比で10.7%上昇しています。
同期における各府県のエリア別の成約㎡単価をまとめると以下の表の通りです。
| エリア | 成約平方メートル単価(万円/平方メートル) | 前年同月比(%) |
|---|---|---|
| 大阪市 | 53.5 | +12.8 |
| 神戸市 | 37.7 | +15.1 |
| 京都市 | 46.7 | +0.6 |
| 滋賀県 | 31.8 | +9.4 |
| 奈良県 | 21.9 | +16.8 |
| 和歌山県 | 23.0 | +68.3 |
いずれも1年間で値上がりしていることが分かります。
家の売却相場をリサーチするにあたっての注意点5つ
家の売却相場をリサーチするにあたって、主に価格面において注意しておくべきポイントが5つあります。
①家の売却相場は物件所在地によって大きく異なる
②面積や築年数が同じでも家の売却相場は異なる
③売出価格と成約価格には差が生じることがある
④シミュレーション結果はあくまで参考値
⑤可能な限り条件が近い物件を比較対象とする
売却活動をスムーズに行うためにも、特に家の売却が初めての方は覚えておくと役に立つでしょう。
①家の売却相場は物件所在地によって大きく異なる
家の売却相場はその物件が所在するエリアによって大きく異なります。
人口が多い都心部なのか、少ない地方なのかによって価格に差が出るということです。
中古戸建の相場を例として説明すると、売却相場が最も高い東京都と低い秋田県では5,000万円以上もの価格差があります。
地方にある平均的な物件を都心部と同じ水準の価格で売却するのは現実的ではないと言えるでしょう。
地方において都心部の平均価格を基準にするのは適切ではないということです。
②面積や築年数が同じでも家の売却相場は異なる
同じ面積や築年数の家でも、間取りや設備等によって売却相場が異なる場合があります。
間取りや設備等が異なれば、購入希望者のニーズが変わってくるためです。
面積が同じでも間取りが1LDKか2LDKかによって、ターゲットが夫婦2人世帯か3人のファミリー世帯かといったように異なるでしょう。
同じマンション内の同じ面積の部屋と比較する際でも、間取りやターゲットが異ならないかを確認した上で比較するようにしましょう。
③売出価格と成約価格には差が生じることがある
売出価格は売却を開始するにあたって市場に出す時点での価格のことで、成約価格は買主と合意ができて実際に取引が成立した価格のことです。
売出価格と成約価格には差が生じることがあるため、売出価格を基準に資金計画(ローンの繰上げ返済や新居の購入等)を立てるのは避けたほうがよいでしょう。
実際の取引では、売り出した後に反響が少ないため価格を下げたり、購入希望者から価格交渉があったりすることが少なくないことから、成約価格は売出価格よりも安くなる場合があるためです。
売出価格と成約価格の差はマンションよりも戸建の方が大きくなりやすい傾向があり、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、戸建の成約価格は売出価格の2割も低いというデータ(※)もあります。
※東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」p.6
戸建を売却するにあたっては、売り出した時点での価格よりも2割程度低い価格で成約となる可能性を想定して、売却後の資金計画を立てるようにしましょう。
④シミュレーション結果はあくまで参考値
不動産査定サイトでは、物件の所在地や面積、築年数を入力するだけで売却シミュレーションを行うことができます。
しかし、提示されたシミュレーション結果を鵜呑みにせず、あくまで参考値として認識しておくのが適切でしょう。
実際に査定担当者が現地に足を運んで、物件を細かく見た上で価格を提示しているわけではないため、市場で評価される価格とは乖離がある可能性が高いためです。
⑤可能な限り条件が近い物件を比較対象とする
家の売却相場における「条件」とは、主に以下のような項目です。
| 土地について | ・所在地 ・土地の形 ・面積など |
|---|---|
| 建物について | ・築年数 ・リフォームをしているか否か ・床面積など |
上表の各種条件の良し悪しによって物件価格は変動するため、比較対象とする物件を選ぶ際は自分の物件と可能な限り条件が近い物件にするのがよいでしょう。
同じ面積でも駅や商業施設から近い物件や、同じマンションでもリフォームをしている物件の方が高く評価される傾向にあります。
売却戦略を考えるにあたっては、競合物件の動きを注視することが重要であるため、競合物件を適切に選定できるように条件の近さという視点を持っておくと役に立つでしょう。
相場よりも安くなる!?家の売却で避けるべき5つのケース
立地や築年数、面積等が周辺相場に近かったとしても、相場よりも安い価格でしか売れないケースも存在します。
そのような事態にならないようにするために、家を売却する際に避けるべきケースが以下の5つあります。
①建物や設備の老朽化が著しく進行している
②建築基準法に違反している
③「買取業者」と呼ばれる不動産会社に直接売却する
④売出価格を低くしすぎてしまう
⑤顧客を囲い込んでいる不動産会社に売却を依頼してしまう
①建物や設備の老朽化が著しく進行している
建物や設備の日常的なメンテナンスが行き届いておらず、老朽化が著しく進行している物件は購入希望者から敬遠されてしまい、相場よりも安い価格でしか売れない可能性が高いでしょう。
そのような物件を購入した場合、購入後に買主が修繕やリフォームをしなければいけなくなるためです。
シロアリ被害がある、雨漏りしている、建具が破損しているなど、日常生活がままならない状態の物件に購入希望者が現れる可能性は極めて低いでしょう。
②建築基準法に違反している
建物を建築するにあたっては、建築基準法をはじめとする法律を遵守する必要があります。
以下のケースのように建物が建築基準法に違反していると、買主が購入後に建て替えする際のハードルになる可能性があるため、相場よりも安い価格でしか売れない可能性が高くなります。
前面道路の幅員不足(4メートル未満)
建築基準法における「道路」とは、幅員が4メートル以上であるものと定義されています。
前面道路(敷地に面した道路)の幅員が4メートル未満である場合、その道路の中心線より2メートル後退したラインが道路境界線とみなされます。
後退した部分は敷地内であっても道路とみなされることから、建物を建築することができません。
道路とみなされた敷地部分に建物が建てられている場合は、建築基準法に違反しているということになります。
敷地の接道の不足(2メートル未満)
建築基準法において、建物を建築する際には、その敷地が「道路」(幅員4メートル以上)に2メートル以上接道していなければならないと規定されています(接道義務)。
建物を建築する敷地が接している道が狭いと、自然災害や火災等の際に避難や救助のための経路を確保できなくなるため、接道義務が課されています。
敷地が接道の条件を満たしていない敷地には建物を建築(再建築を含む)することができないため、土地としての有用性が下がりやすいでしょう。
都市計画等による建築制限を受けている
都市計画における「市街化調整区域」(市街地にすることを抑える地域)などのように、一部のエリアでは建物の建築の制限を受けていることがあります。
市街化調整区域では住宅を建てる際のヘードルが高いため、同区域内にある物件を購入したい人は現れにくいでしょう。
所有している物件が市街化調整区域にある場合は売却が困難になる可能性があるため、自治体の都市計画課に確認しましょう。
③「買取業者」と呼ばれる不動産会社に直接売却する
買取業者とは、売主が所有する物件の買主を見つけるのではなく、自らが買主になる不動産会社のことです。
買取業者に物件を売却すると、相場より安い価格で買い叩かれてしまう可能性があります。
買取業者は個人の買主と異なり、事業として物件を購入していることから、自社の利益を最大化するために物件を安く買うことに重きを置いていることが多いためです。
物件を安く買うための交渉に長けている買取業者も多くいるため、プロに対して相場以上の価格で物件を売却するのは困難と言えるでしょう。
④売出価格を低くしすぎてしまう
相場価格以上で物件を売りたいのであれば、低すぎる売出価格で売却をスタートするのは適切とは言えません。
周辺の相場をよく調べた上で、適正な水準以上の価格で売りに出しましょう。
⑤顧客を囲い込んでいる不動産会社に売却を依頼してしまう
不動産業界における「囲い込み」とは、売り物件の情報を市場に一般公開せず、自社で囲い込んでいる顧客にしか提供しない行為のことをいいます。
不動産会社が「囲い込み」をする理由は、売主・買主ともに自社で見つけた場合、双方から仲介手数料をもらえるため、一つの取引で売上を最大で2倍にできるためです(このような取引を「両手取引」といいます)。
売り物件の情報を市場に広く一般公開すると、他の不動産会社が買主を見つけてくる可能性があり、売主からしか仲介手数料をもらえなくなってしまいます。
売主にとっては、広く物件の情報を市場に出してもらい、多くの購入希望者の目に触れる状況を不動産会社に作ってもらうことが理想です。
少ない顧客にしか物件情報が周知されていないと、購入希望者が現れる可能性が下がる上、売却期間が長くなった結果として価格を下げて売らざるを得なくなり、売主が不利益を被るリスクがあります。
売却相場よりも家を高く売るための7つのコツ
家を売却するにあたっては、売却相場より少しでも高く売りたいものです。
競合物件と同じ物件を同じ方法で売るのでは、相場を超える価格で売却するのは難しいでしょう。
売却相場よりも家を高く売るためのコツは以下の7つです。
①高額での売却が得意な不動産会社に売却依頼をする
家の売却の成否は不動産会社の能力に大きく左右されるため、高額での売却が得意な不動産会社に売却依頼をすることが重要です。
具体的に高額での売却が得意な不動産会社の特徴には、以下のようなものが挙げられます。
・多種多様な属性の顧客を数多く抱えている
・情報拡散力が強い
・広告力が長けている
多種多様な属性の顧客とは、個人・法人、日本人・外国人、投資用での購入を考えている人・実需用での購入を考えている人、ファミリー世帯・単身世帯、富裕層・マス層といった顧客層のことです。
各顧客層によってニーズや魅力を感じるポイントが異なるため、同じ物件でも見る人によっては相場以上の価値を感じて相場価格より高く購入してくれる可能性があります。
情報拡散力とは、物件情報を発信するための手段(自社HP、SNS、営業マン等)、資金(人件費、広告宣伝費等)、リーチできる人の数(自社HP閲覧人数、SNSフォロワー数、提携している不動産会社の数等)の多さのことです。
家を高く売るには、少しでも多くの購入検討者に自分の物件を見てもらうことが重要であるため、物件情報を広く多くの人に拡散することができる不動産会社に売却を依頼するのが合理的です。
不動産会社の広告力とは、その物件のセールスポイントを的確に抽出し、最も魅力的な見せ方で、そのセールスポイントが最も響く人に届ける力のことです。
物件写真の撮り方や営業図面に記載する内容および言葉選びなど、「どのような素材や言葉を使って訴求すれば最も魅力が伝わるか」を考えた上でターゲットを見定め、そのターゲットに最も効果的にリーチできる広告方法を熟知している不動産会社は広告力が長けているといえます。
幅広い顧客に対して、数多くの手段の中から最も効果的な方法で物件の情報を発信し、その物件に相場価格以上の価値を感じる購入検討者を見つけられる可能性を少しでも高められる不動産会社を選ぶのが有効でしょう。
②時間をかけて高く購入してくれる買主を探す
家を売却相場以上で売るためには、「物件をいつ売りに出すか」が非常に重要です。
その物件に相場価格以上の価値を感じる購入検討者がいるか否か、その時の不動産マーケットが活況か否かはタイミングの問題が大きいためです。
売却の好機をつかむためには、急いで短期間で売ろうとするよりも焦らずにじっくりと時間をかけ、その物件を高く買ってくれる人が現れるタイミングを待つ方が合理的でしょう。
具体的な売却戦略の一つとして、売出価格を相場よりも高い「チャレンジ価格」に設定するという戦略が挙げられます。
売り出してからの数ヵ月間はチャレンジ価格で募集を継続してみて、マーケットでの反響状況(問い合わせ数、内見数)に応じて価格を調整したり、広告戦略を変えたりするという戦略です。
時間をかけることで、チャレンジ価格での募集期間を一定期間取ることができるため、売却相場以上の価格で売れる可能性を高めることができます。
急いで短期間で売ろうとすると、チャレンジ価格での募集期間を取ることが難しくなる上、価格を下げる間隔を短くせざるを得なくなるため、結果として売却相場以下の価格で売ってしまうことになりかねません。
③「築古物件」になる前に売る
マンションにおいても戸建においても、築年数が経過するにつれて値引き率(売出価格と成約価格の比率)が高くなる傾向があります。
築古物件は売出価格で成約しにくく、値引きをしなければ売れない可能性が高くなるということです。
特に築年数が20年を越えると値引き率が高くなりやすいため、築年数が20年以内の物件の売却を検討している場合には築20年を迎えるまでに売却するのも選択肢の一つでしょう。
築古物件の値引き率が上がりやすくなる要因として、以下の3つが挙げられます。
・修繕リスクが高くなる
・間取りや内装が時代のトレンドに合っていない
・長期の住宅ローンを組めない可能性がある
築古物件においてリフォームや設備交換を適切に行なっていない場合、設備の故障や交換が発生して修繕コストがかさむリスクが高くなります。
購入後に発生した設備の修繕コストは原則として買主が負担することになるため、修繕リスクを懸念して築古物件が敬遠されることも少なくありません。
築古物件の中には、バス・洗面・トイレが一体となった3点ユニットの物件や、和室しかない物件、エアコンのスリーブがない(エアコンを設置できない)物件も存在します。
間取りを変更したり内装を刷新したりするには多額の工事費用がかかるため、最近のトレンドに合った家で暮らしたい人には魅力的な物件に映らない可能性が高いでしょう。
築古物件の購入のために住宅ローンを組む際、35年の長期ローンを組めない場合があります。
築古物件は新築・築浅の物件と異なり、35年後にその建物が存続しているか分からないリスクがあるためです。
返済期間が短くなると月額の返済額が高くなり、支払いが厳しいために購入を断念せざるを得なくなるというケースもあるでしょう。
築古物件に購入希望者が現れた場合でも、現実的に返済可能なプランでの住宅ローンを組めなければ物件購入に至らないことがあるということです。
④インスペクションを行い買主への安心材料を提示する
インスペクションとは、「建物状況調査」「住宅診断」とも呼ばれ、建築士の資格を持つ専門家が第三者の立場で、目視、動作確認、聞き取り等の方法で住宅の現状の検査を行うことです。
既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、国によって定められた既存住宅状況調査方法基準に沿って調査するため、インスペクションを行うことで建物の性能や安全性を客観的に証明することが可能になります。
インスペクションを実施することで、希望価格で売却できる、買主が早く見つかりスムーズに売却できるといった効果が期待できるため、コストと時間をかけてでも実施する意味は大いにあるでしょう。
買主に安心感を与えることができるため、築古物件であってもインスペクションによって安全性を担保することができれば、築年数が経過していることによる懸念材料を一定程度減らす効果も期待できます。
インスペクションの実施にかかるコストはおおよそ4.5万〜6.5万円程度であり、所用時間も1〜3時間程度であるため、コスト・時間ともにそこまで大きな負担にはならないでしょう。
数千万円以上の物件を数ヵ月かけて売却することを考えれば、4.5万〜6.5万円程度のコストと1〜3時間程度の時間は惜しまず投下するのが合理的と言えそうです。
インスペクションの実施を考える場合、売却の相談をしている不動産会社に依頼してインスペクター(インスペクションを実施する専門家)を紹介してもらえる場合もあります。
⑤瑕疵担保保険に加入する
瑕疵担保保険とは、中古住宅の売買時に加入しておくことで、住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分等における、瑕疵の補修費用等に対する保証を受けることができる保険のことです。
瑕疵担保保険の対象となる箇所は、戸建かマンションかで以下の表のように分かれます。
| 戸建の場合 | マンションの場合 |
|---|---|
| 屋組、屋根版、斜材、壁、横架材、柱、床版、土台、基礎、屋根、開口部、外壁(雨水の浸入を防止する箇所) | 屋根版、床版、外壁、壁、床版、基礎、基礎杭(構造耐力上主要部分)、屋根、排水管、開口部、外壁(雨水の浸入を防止する箇所) |
上記の箇所に瑕疵が見つかった場合に保険が適用され、保証を受けることができます。
瑕疵担保保険に加入することで、希望価格で売却できる、買主が早く見つかりスムーズに売却できるといった効果が期待できるため、保険料を支払ってでも加入する意味は大いにあるでしょう。
売主のみならず買主も、瑕疵担保保険に加入することによるメリットを享受することができます。
買主側のメリットとしては、築年数が20年を超える物件であっても以下のような税制優遇制度を受けられるようになることです。
・住宅ローン控除
・登録免許税の軽減
・贈与税の住宅取得等資金の非課税制度
・相続時精算課税制度の特例など
特に築年数が20年を超える物件の場合は、瑕疵担保保険に加入しておくメリットが大きいでしょう。
瑕疵担保保険に加入するには、以下2つの要件を満たしている必要があります。
・1年以内に実施されたインスペクションに合格している建物であること
・新耐震基準(1981年6月1日以降の耐震基準)に適合した建物であること
インスペクションはいつでも実施できますが、新耐震基準に適合しているか否かは事後的に変更できないものであるため、旧耐震基準の物件は瑕疵担保保険に加入できないということになります。
⑥清掃や管理が行き届いていることをアピールする
物件の写真を見た際や内見をした際に、室内が汚れている、管理が適切になされていという印象を与えてしまうと、購入希望者が相場価格以上で購入したいと感じる可能性は下がるでしょう。
最低限の清掃や管理を日常的にしておくことが重要です。
⑦売却にかかるコストを削減する
売却にかかるコストには、税金や仲介手数料といったものがあります。
コストを抑えることは、その分物件を高く売却したことと同じ効果があるため、税金の控除制度を活用する、仲介手数料が安い不動産会社を探すといった努力によってコストカットをすることも重要です。
売却方法を工夫しよう!古い家を売却する際の3つのコツ
築年数が経過した古い家であっても、以下3つのコツを押さえて売却方法を工夫することで売却することは十分に可能です。
①土地として売却する
②リフォームやメンテナンスを適切に施す
③築年数が経過した物件を好む人に売却する
①土地として売却する
築年数が経過しており建物の価値が低い場合には、以下2つの方法で土地として売却するのも選択肢の一つです。
・「古家付き土地」として売却する
・建物を取り壊して更地にする
「古家付き土地」とは、経済的な価値がほぼない住宅が建つ土地をいいます。
古家付き土地は、住宅の解体やリフォームの費用(買主負担)がかかる可能性を見越して、更地よりも安いのが一般的です。
建物を取り壊して更地として売却する場合、古家付き土地よりも売却はしやすくなりますが、住宅の解体費用(売主負担)がかかります。
②リフォームやメンテナンスを適切に施す
高品質なリフォームやリノベーションが普及しているため、適切にメンテナンスを施すことで、築年数が古い物件でも売却することは十分に可能です。
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「季報マーケットウォッチ」(2022年1〜3月期)によると、2022年1〜3月期の首都圏における築31年以上の中古マンションの成約件数割合は31.7%(約3件に1件)、中古戸建の割合は23.7%(約4件に1件)というのが実情です。
築年数が経過している物件でも適切にリフォームやメンテナンスを施すことで、住宅としての寿命を延ばすこともできると言えるでしょう。
定期的な内外装のリフォームや設備の更新など、適切なメンテナンスを日頃から行うことが重要です。
③築年数が経過した物件を好む人に売却する
築年数が経過した物件であっても、全ての物件が全ての人にとって「古くて価値が低い物件」であると捉えられるわけではありません。
「ヴィンテージ」という言葉があるように、新築物件にはない建物の味わいや歴史といった点に魅力を感じる人も少なからずいます。
不動産には決まりきった定価というものはなく、一つ一つの物件がそれぞれに異なった価値を有しており、一人一人の買主がそれぞれ異なった価値を感じるものです。
築年数が経過している物件だからといって一律に買主を見つけにくい、相場以下の価格でしか売れないということではありません。
築古物件の売却実績が豊富な不動産会社に相談してみるなど、売却方法を工夫してみることが重要です。
家の価値がいくらになるかはオーナーの努力と工夫次第
家の価値は立地や築年数、面積等によって目安となる売却価格の幅はある程度決まってきますが、それ以外の要素によっても変動する可能性があります。
日常的なメンテナンスのクオリティや売却戦略、誰に売却するかといったオーナーの努力と工夫によって、相場以上の価格で売却できるチャンスは十分にあるでしょう。
不動産には株価のように「今売るとこの価格」という定価がないため、家の価値がいくらになるかはオーナー次第とも言えます。
家の売却でよくあるQ&A
家の売却についてよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q:マイホームの資産価値を算出する方法は?
主に以下の3つ方法があります。
①家賃が基準の「収益還元法」
②取引実績が基準の「取引事例比較法」
③再取得価格が基準の「原価法」
不動産の価値は築年数や周辺環境、経済情勢といったさまざまな要因によって決まるため、その査定方法も多岐にわたります。
Q:資産価値が高い家にはどんな特徴がある?
主だった特徴の一つに、都市部や駅に近い好立地の家が挙げられます。
都心部の主要駅(新宿駅や渋谷駅など)へのアクセスが良い駅が徒歩10分圏内などの物件は資産価値が高くなりやすいでしょう。
Q:どの沿線・どの駅の物件を購入するのが適切?
将来的な売却や賃貸物件としての運用の観点から、購入需要・賃貸需要が長期的にともに高い状態が続く沿線・駅を選ぶのが得策です。
各沿線の利用者数や各駅の乗降客数を一つの指標として測るとよいでしょう。